101 気圧計 〜頭痛と気圧の関係を確かめるために〜

2011年の夏頃、秋葉原で目を引いたのがデジタル気圧計のキットでした。確か5000円ほどで、お高いなぁ、という感じでした。ただ、過去の気圧データをトレンドとして評価できる機能は面白いと思いました。それでもサイズが大きかったので、買うまでには至至りませんでした。んで、キットが採用していた気圧センサだけ買ってみました。センサさえあれば、あとでどうにでもなるような気がしたからです。
して、その気圧センサに陽の光があたったのはその年の年末。大掃除でがらくた箱を整理していた時に目に留まりました。というのも、友人がコンパクトな気圧計を欲しがっていたことを思い出したのです。曰く、「軽くて、持ち運びができて、いつでもみられて、これから気圧が上がるか下がるかがわかるもの」というものでした。
どうしてそんな気圧計が欲しいのかと聞くと、頭痛持ちなので、気圧の変化を知りたい、ということでした。

というわけで、気圧計のお話です。

◎参考にしたキット
「デジタル気圧計・キット」トライステート(販売:秋月電子)
トライステート
http://www.tristate.ne.jp/digitalbarome.htm
秋月電子
http://akizukidenshi.com/

秋月電子が販売する商品は解説や資料が豊富に付いてるので、何かと便利です。このキットも回路図が提供されていて、ちょっと心配になるほどです。もっとも、それを拝借している私も、わたしですが。

◎設計仕様
小型化のため、キットから不要な回路を省き、部品もチップ部品に変えました。んで、消費電力を抑えるためにLCDモジュールをバックライトなしでも使えるタイプに変更しました。
電源は内部電源と外部電源の双方に対応できるようにし、内部電源は3本の単4をDC-DCコンバータで5Vに昇圧します。外部電源にもDC-DCコンバータを入れ、6V〜12Vに対応できるようにしています。推奨は9Vです。回路本体は5V駆動です。

◎実体配線図
回路は上記キットのままです。この回路をテイシンTC-102のケースに入るようなサイズにするようにユニバーサル基板で組み上げます。その実態配線図がこちらです。
005.jpg
表面と裏面それぞれ用意し、これを見ながら基板上に組み上げます。なお、赤が裏側に付く部品です。

◎部品リスト
・超小型LCDキャラクタディスプレイモジュール(16×2行)
 [SD1602HUOB(-XA-G-G)]
・PIC18F2550 I/SO
・MPL1152A2使用大気圧センサーモジュールキット(I2C)
 [AE-MPL115A2-A]
・DC-DCコンバータ AS1322A 昇圧型DC-DCコンバータモジュール(3.3V/5V)
・その他
 抵抗、コンデンサ、半固定抵抗、スイッチ、コネクタなど多数。

◎ユニット(LCDユニット/制御ユニット/電源ユニット)
写真にあるのは、上から、電池、LCDユニット、制御ユニット、電源ユニットです。
001.jpg
基板は操作パネル側が見えています。
白く四角いのがスイッチ。セレクタとリセット、液晶のバックライト点灯用を追加しました。
オリジナル回路と同じく電源部に整流用ダイオードを入れました。電源極性を気にしなくてすみます。

◎ユニット
基板裏側
高度を0mにリセットするスイッチは裏側に配置しました。
一度セットすればリセットする機会はほとんどないというのと、間違って押してしまわないように、です。

◎変更点
使っている部品は表面実装用の部品を使っていますが定数や規格はオリジナル回路とさほど違っていません。
・LED点灯用制限抵抗
オリジナルの定数では手持ちのLEDでは明るすぎたので、消費電流を抑える方向で変更しました。
・クリスタル
オリジナル回路はクロック周波数としてクリスタルと22pFのコンデンサを組み合わせていますが、セラロックに変更しました。
・バックライト用スイッチ
バックライトを点灯させるためのスイッチを追加しました。
・リレー回路
オリジナルにあるリレー回路は割愛しました。ただ、リレー制御用I/Oポートからの信号出力に備えるため、プルダウンさせる回路までは残しています。
・電源ユニット
内部と外部電源の切り替えスイッチやら、逆流防止のためのあれやこれやの工夫を実装しました。

◎備忘録
この回路、電池駆動の場合、供給電圧の低下に従いLCDの表示から消えるようです。
本機は電源が切れると過去のデータがなくなります。
内部電源と外部電源の双方を同時に使えてしまう構成になっていますが、内部電源からの電源供給をカットできるスイッチを用意します。自動化できればいいのですが、うまい方法が思い付かないままです。というか、電池をNi-MH化し、内部に充電回路と過放電防止回路を組み入れてusbで充電、とかしたいなぁ、などと思っていますが、でも、本当にポーダブル化が必要かということもあるので、今のところは様子見です。
なお、公開されている回路図をもとに部品を集めると、とりあえずキットより安くできそうですが、もれなく細かな作業が付いてきます。
なにか目的があるのでなければキットを買った方がお手軽と思います。なにより確実です。リレーも付いているので、気圧変化に応じた外部装置の制御もできます。必要であれば、ですが。

◎実装
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内部電源用の電池ボックスから自作しました。プラス側の端子を凹状にして使うことにし、ケース内部で電池が暴れないようにしています。
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*その後usbポートを追加しました。電源供給がその主な理由です。usbを電源とみなすような使い方は好きではないのですが、好き嫌いを現実が追い越している今、usbポートを付けない理由がないので追加しました。ついでに、PICにアクセスできるようにしました。
007.jpg
 
usbポートはケースとツライチになるようにしました。

◎外観
ケースの色が青色なのは、保護シートを剥がしていないからです。剥がすとアルミの地色が見えます。
004.jpg
サイズ(W×D×H):75×55×19mm
質量:104g
消費電流:外部電源使用時 26.5mA(BackLight使用時34.2mA)
    :内部電源使用時 38mA(単4を3本利用時)
△結構消費電流が大きい。単4電池3本の場合、一日持ちませんでした(実測)・・・。よく考えればPICが25mA(データシートより)消費しているのだから当然といえば当然か。現状は1000mAタイプのNi-MHを利用しているが、それでも24時間とちょっと、という感じ。今後、ポーダブル化を薦めるのであれば消費電力の低いPICと回路そのものの低電圧化(3.3v化)を考えるべきかも。

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