001 いまさら真空管でもないだろうに

真空管アンプを作ったので、その記録として。2012年1月
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ぺるけ式 全段差動プッシュブルアンプ(2段式:6SL7GT+EL34)

◎注意
B1、B2系列には高電圧が流れている。通電後もコンデンサーに蓄積された分が放電するまでは安心できない。死ぬほどの高電流ではないが、感電するとそれなりにへこんでしまうので用心に越したことはない。

◎基本の回路
情熱の真空管, 木村哲, 日本実業出版社, 2008(初版2004)
Building My Very First Tube Amp講座

◆電源部 回路図

power-s.jpg
power-s.pdf


  • 定数はWebのものを記載。かっこ内の定数は書籍で示唆している定数。

  • 電源トランスは「TANGO PH185」が廃盤のため、後継とされる「TANGO GS-2819」を採用。

  • 実際に採用している定数はかっこ内のもの。


◆アンプ部 回路図
amp-s.jpg
amp-s.pdf


  • 定数はWebのものを記載。かっこ内の定数は書籍で示唆している定数。

  • 実際に採用している定数はかっこ内のもの。

  • EL34の場合、v2、v3の1pinはEにつなぐ。8pinでも良いような気がするが・・・。

  • 上段の回路は低電圧部に3端子レギュレータを使用した場合のもので、下段はパワートランジスタを採用したもの。実機ではパワートランジスタを採用している。

◎「情熱の真空管」について
・この本に多くを期待してはいけない。
・他の本をさらに買う必要はないが、この本だけで十分と考えてはいけない。
・この本の中に回答は明示されていない。
・結果が出た理由を考えないとうまくいかない。
・真空管は半導体と違い、目の前で起きていることだけが現実。

◎主要部品
真空管(初段):6SL7GT×2
真空管(出力段):EL34×4
電源トランス:TANGO GS-2819×1
出力トランス:TANGO FE-25-8×2

◎実態配線図
◆AC電源&ヒーター部
in-a.jpgのサムネール画像


  • AC電源、ヒーターラインにはAWG20を使用。

◆電源部&アンプ部(入出力ラインは除く)
in-b.jpgのサムネール画像


  • ケーブルはAWG22を使用。

  • 真空管は右側からv1(初段)、v3、v2。

  • 真空管のラグに直接接続する部品は足を長めにとる。真空管の挿抜でラグが動くので、その動きを考慮した部品配置が必要。

  • パワートランジスタからの発熱があるので、放熱板を付けるか、シャーシに密着させる。実機では放熱板を付けた上でシャーシに密着させた。

  • 書いていないが、測定用のラインはv2、v3の8pinから引き出す。

  • これも書いていないが、ボリュームはシャーシと接地させている。また、初段に向かう入力ラインのシールド部はボリュームの金属部に落とすだけ。

  • 入力用のRCA端子のGNDはシャーシではなく、アースラインに落としている。単に、シャーシの塗装を剥がし忘れたのと、絶縁型のRCA端子を使っているからという理由から。んで、ボリュームに向かう入力ラインのシールド線はボリューム側では結線しない。アースのループをつくらないとは、なるほどこういうことかと実感。

◎内部
◆全体図
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白く見えるセメント抵抗の周辺、左右にある裏返ったボリュームの両脇にある抵抗とコンデンサ周辺は高電圧の巣。

◆ACインレット&スイッチ側
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◆ボリューム側
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ボリュームは簡易型のアッテネータを自作。本式を導入するにはスペースに余裕がなかった。
本機に導入したのは入力信号に対して直列に入る抵抗を固定し、並列に入る要素(GNDに落とす分)をロータリースイッチで切り替えていくタイプ。このタイプは、疑似T型アッテネータと呼ぶ人もいれば、疑似L型アッテネータという人もいるがどっちだ? その構造故にインピーダンスは一定にならない。
使用したロータリースイッチは「Tosoku 接点可変型ロータリースイッチ(2段2回路2~23接点)」。秋葉原のラジオデパート3階の門田無線にて購入。

・Tosokuのロータリスイッチを加工し、セイデンっぽくする
Tosoku.jpg

Tosoku.pdf

セイデンも良いが、値段の高さを嫌ってTosokuにした。ただ、そのままでは抵抗の取付がめんどくさいので加工した。
底にあるプラスのネジを取っ払うとバラバラになるので、楕円状(というか、平行四辺形?)の基板(共通端子側)とプラスチックのモールドをとりあえず外す。基板には接点があるのでそれに触れないように注意する。次に中央の回転軸についている白い回転端子を注意深く引き抜く。最初は力がいるが、動き出すとするすると抜ける。優しく丁寧に。回転端子が抜けると、24の接触端子を備えた基板も取れるので引き抜く。23回路なのに数えてみると24個ある。不思議だ。それを天地逆にして組み直すとまあ、LとRが対象になって、抵抗を取り付けやすくなる。組み直すついでに、L側とR側を切り分けるように、その間に0.5mm厚の銅板を挟んだが、これは好き好きで。
やり始めれば簡単に終わる。あとはちゃんと間違わずに抵抗を付ければOK。勘違いすると、ボリュームを回すとL側は音量が上がるのに、R側は下がっていくという、残念な結果になるので注意。

・抵抗の配線イメージ
Tosoku-R.jpg
Tosoku-R.pdf
抵抗は入力側に15kΩを用意し、1接点目はそのままGNDに落とし(ジャンパー)、2接点目から23接点までに抵抗を実装。
抵抗値はこちらのHPJA4CAMのごった煮ホームページ「6DJ8差動プリアンプ」記事をまるっと借用。
ちなみに、時計回りにボリュームが上がるようにするには、2接点目が10Ωで、23接点目を220kΩとしなくてはならない。
なお、このロータリースイッチは、23回路のくせに接続端子は24個ある。スイッチ上部の金属部を見ると、AからXの刻印がある。しかし、このAは使えない。エンドレスタイプでは使えるのかもしれない。よって、刻印を頼りに説明すると、Bが1接点目(ジャンパー)で、Cが2接点目、Xが23接点目となる。確かめもせずにAから繋いでいくと、最後にXが余って悲しい思いをするので、ご用心。というか、UI的にはXをロック側にすれば良いのにと思う。

・アッテネータ回路図
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GNDをちゃんと落とさないとボリュームとして成立しないので注意。ロータリースイッチの金属部には上手くはんだがのらないので、ビスに巻き付けるようにしてGNDに落とした。シャーシ側の塗装を剥がし忘れると、これまた残念な結果になるのでこちらも注意。

◎計測値
・電源部の実測値
整流出力電圧(Cb0の両端):314V
Rb1(100Ω)の両端:12.57V
Rb2(100Ω)の両端:12.53V
Cb2の両端:294V
B1+:291V
B2+:280V
マイナス電源(C-):3.87V
リプル電圧(Cb0の両端):
リプル電圧(Cb1の両端):
リプル電圧(Cb2の両端):
リプル電圧(B1+の両端):

・出力段の実測値
プレート電圧(対アース):286V(L)/286V(R)
カソード電圧(対アース):20.3V(L)/20.0V(R)
プレート電圧(P-K間):266V(L)/266V(R)

・定電流回路の実測値
2SD1763(hFE=135-200:配布品)
CRD(1.90-2.01mA:配布品)
ZD(6.2V:配布品)
エミッタ抵抗(91Ω):5.39V(L)/5.39V(R)

・初段の実測値
プレート電圧(対アース):153V(L)/163V(R)
カソード電圧(対アース):1.461V(L)/1.743V(R)
定電流回路
CRD(計算値:1.045mA)

◎部品について
一部の部品はぺるけ氏のご厚意より配布いただいた。


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