2008年10月アーカイブ

Mr. Bigの苦悩は続くよ、どこまでも♪

キャリーを喜ばそうとした男子(Mr.ビッグ)の軽はずみな一言がドミノ倒しよろしく、あちこち駆け回り、その揚げ句の果てがスラップスティックとくれば、誰が悪いかっていえば、そりゃあ、ビッグですよね、すいません!とひれ伏すしか・・・ってところに、この映画が決定的に男子に好まれない構図が隠され(てなんかいないけど)てるのでした。
だって、ビッグの立場に立つなら、イマイチあやふやな自分の気持ちを持て余し、その気持ちを確かめるはずのキャリーはなんだか超浮かれモードで、ウェディングドレスのことしか頭になくて、それからの暮らしのことを話す機会もない。そんな状況に置かれた彼が結婚式を苦痛も思うのも当然、なていうのはひいき目? その一方でキャリーが途中下車しようとしなかった本当の理由は、「誰と結婚するのか」ではなく、「誰に見びらかすのか」に偏向していたが故の一本道なんじゃないか? な~んて、この言い方はちょっと意地悪でした。すいません。悪いのは誰だと問われれば、えっ、ビッグ?と答えてしまう程に、男子には分の悪いお話ですね、あはは。だめだよ、ビッグ!

なんていうか、初手からツッコミどころ満載。
キャリーを喜ばそうとした一言がきっかけになって三度目の結婚に踏み切ったビッグとか、素敵なドレスを着て誰もがうらやましがるような結婚式をあげることに熱中したキャリーとその友だちとか、4年の月日はあなた達を全く変えていなかったのですね。相も変わらず恋愛という熱病に冒されたままじゃん!

とまあ、ど派手なドタバタ劇からスタートした SATC。しかも、今回は映画版。でっかいスクリーンで何を見せられることやら、やれやれでございます。
さて、映画について簡単に紹介すると、元ネタは同名の海外ドラマから。成功を夢見て単身NYに乗り込んだ新人コラムニストのキャリー。彼女が親友と呼べる3人の仲間と出会い、四人が二つの"L"を手に入れるまでのサクセスストーリーがドラマ版SATCなのよね。その感動のフィナーレから4年後。『みんな幸せになりましたとさ』で終わったおとぎ話のその先のお話。それが「Sex And The City The Movie」なのよ。そんな話、映画でみたいものなの? という、ひどく真っ当なツッコミは非っ常に男子的で私的には全然賛同! 超どーでもい~、ってなもんだけど、女子的には、何言ってんの! 見るに決まってんでしょ、だからあんたは馬鹿なのよ、馬鹿馬鹿! と一蹴二蹴されて終了。あはは・・・。
ちなみに、二つの"L"とは、Label(肩書き)とLove(愛)ね。

まあ、そんなやっかみ半分のオヤジのコメントはさておきとしても、この映画にももちろん面白いところはある。というか、結構面白いんだけど、特に彼女たちの可能性を信じ過ぎちゃうところが何というか、オトナ女子の本質を描いていて、分かる。分かるけど、痛々しくて、なんだかなぁ~な感じ。
欲しいモノは何でも独力で手に入れてきたキャリー(のような成功者)にとって、「可能性」を否定することは生理的に難しいのね。だって、可能性を信じるポジティブシンキングがあるからこそ今日の成功があるんだもの。そりゃ、信じるわ。そして、二つの"L"を手に入れ、人生の頂点に立ちつつあるキャリーをして魅了するもの。その新たな可能性。それがズバリ『どこかに私の理想の王子さま(王女さま)がいるはず』という、アレです。

そんなことあるわけない!って笑っているあなただって、思考を超トンガリポジティブにスイッチさせるとほら、「もしかしたら?」とか考えちゃうでしょ。素直に信じる分だけキャリーの方が純粋ってもんです。そして、同じことがビッグにも! あはは。だめじゃん、ビッグ!
まあ、彼も恋愛という可能性に溺れた男なのさ。『理想の王女さま』も、まあ、どこかにいるかもね。
ともあれ、ビッグが出会った『理想の王女さま』は徹底した恋愛原理主義者だったわけで、一方キャリーの前に立っていた『理想の王子さま』は悩める少年でしたとさ。でも、そうした可能性をちゃんと信じるふたりだからこそお互いの良いとこ探しをはじめ、物語は多少ズレながらも収まるところに収まろうと動き出す。可能性と理想と現実とのギャップが三つどもえ。暴走するキャリーを前にビッグが身動きとれなくなったのは彼の幼さ、それともキャリーのわがまま? でも、結局ロマンチストさんな彼は・・・。とこの先は映画を見てのお楽しみということで。

努力と経験だけではどうしても手に入れられないモノが確かにあって、結局、お互いが歩み寄るしかないのだなぁと、非常に当たり前なことを当たり前に実感してしまったSATC。
おとぎ話の続きは特別でも何でもなくて、当たり前に昇ってくる朝日を明日からは二人で迎えるというそれだけのことなんですね。過剰な期待は野暮というものです。命短し恋せよ乙女。

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