2014年5月アーカイブ

さて、威力業務妨害罪で逮捕された片山被告について。一貫して無罪を主張していた彼が、保釈後に一連の事件についての関与を認めたという。
この事件について、どこか釈然としないものがあり、果たしてそれは何かしらとつらつらと考えていた。なんとも不思議な事件である。
そもそもの発端は、ネット上に残された犯行予告めいた書き込みである。この書き込みによる実害があったことから警察は捜査を開始し、いくつかのえん罪が生まれたことは既に報道された。その後片山被告が捜査線上に浮かび上がり、逮捕・起訴される。
釈然としないことの一つが、片山被告の罪状は、威力業務妨害であるが、この事件に関連したいくつかのえん罪との関わりがどうなるのだろうかということ。これらのえん罪の責任は検察にあるのは当然として、片山被告はその件に関して責任を問えるのだろうか。さてわからん。
えん罪に問われた方々が片山被告を訴えることはできる、と思う。それは、自分のPCに対して「ウイルス」を仕込んだということに関しての訴えだ。それはできる。でも、その被害の範囲として、えん罪に問われた分までを含めることはできないはず、多分。えん罪に関するあれこれは検察を相手にするべきだろう。
では検察はえん罪を発生させた責任を片山被告に問えるのだろうか。えん罪に至るまでの道筋を片山被告が用意した、あるいは検察をそそのかしてえん罪を起こさせた、とし、えん罪を教唆したとして告訴するのは、かなり無理がある、と思われる。そもそも、えん罪は事件の捜査の結果であって、片山被告は捜査権を持っていないのだから、なにをかいわんやだ。でも捜査妨害というのはあるのかもしれない。あるのかな。
そして、もう一つの疑問。片山被告の保釈後の出来事がどうにも釈然としない。
既に報道されているように、片山被告が保釈後に開かれた公判中に真犯人を名乗る者からメールが届く。そのメールが届く前に警察は保釈された片山被告が河川敷に何かを埋めていたことを目撃している。そしてメールが届いたあとで、現場を掘り起こしたところスマートフォンを発見した。
この報道の通りとするならば、警察は片山被告が何かを埋めたのを目撃しただけで、なんの行動も起こさなかったということだ。どうして行動しなかったのだろう。これがもう一つの釈然としないことだ。
片山被告が何を埋めたのか、それがどのような目的を持った行動だったのかが気にならなかったのだろうか。気にならなかったのだろう、たぶん。忙しかったのかもしれない。
そして、その結果、真犯人を名乗る者からのメールが届く。その後掘り起こしたら片山被告のDNAが検出されたスマートフォンが発見される。そして、事件への関与を片山被告が認める。
つまり、片山被告が何を埋めたのかということに関心を向けず、その行動に何かの目的があるとも思っていなかったが故に、メールは送信された、ともいえる。そして、関心を向けていたら、メールが送信されなかった、ともいえる。
斯くしてメールは送信され、その後片山被告のDNAが検出された。
思惑で事を語るのはどうかと思うが、誰かが書いた筋書き通りにことが進んでいるという印象がどうしてもぬぐえないのだが、この一連の出来事をして、片山被告は踊らされた、とは言わない。しかし彼が踊ることを誰も止めなかった、とは言えるかもしれない。そしてメール送信くらいで良かったね、とも言えるだろう。あるいはメール送信くらいだろうという予断はあったのかもしれない、とも言える。あったに違いない、とは言い過ぎとしてもだ。
しかし、そもそもこの事件って、これほどまでに大事になるような事件だったのかしら。自作自演とは言わないが、マッチポンプな印象がどこまでもぬぐえないところが、かなり怖い事件でした。

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