2009年10月アーカイブ

 日記
 十月一日(木)
相方に指摘されて髪を切りに行く。二月ぶりの床屋だった。そこは理髪師が一人いるだけで、鏡も一枚なら理髪椅子(というのだろうか)も一つ。予約客しかいないからお客も僕一人だけと、あらゆるものが一つの中で人間だけが二人。おかしい。
前回と同じようにと伝え、伸びた分だけ切ってもらう。床屋での会話は前回から今日までの出来事を振り返るばかりで、切られる髪の供養みたい。でもお通夜のような辛気くささがないから良いか。
それで今回の話題は先月行ったロシアの話がメイン。髪を洗っている時でさえなんとか話そうとする自分に気付いて苦笑い。よほど楽しかったんですねと理髪師が笑う。


十月二日(金)
雨ふりの一日。雨の日は靴が濡れるのが問題。よれて履きやすくなったスニーカーほどひどい。
靴はその一生を大きく三つの時代を経て生きる。まず扱いにくさが先行する新品期。その次が足なじみの良い熟練期。この熟練期は意外に短く、すぐにくたくた具合も素敵な衰退期に移っていく。この衰退期は新クタ紀と古クタ紀とに分類でき、とりわけ古クタ紀の靴にとって雨は寿命を縮める原因ともなり得る。くたくたが素敵なのも都市という甘やかされた世界だからであって、雨という現実の前ではなすすべもないのだろう。そして靴は短い一生を雨とともに終える。
熱帯雨林のスニーカーは砂漠の夢を見る。

十月三日(土)
朝から降っていた雨も午後にはあがるが、空には重苦しい雲が一枚。夕暮れ頃になってようやく太陽が顔を見せる。しかし挨拶も早々に、顔を赤らめさようなら。
今日は団子を眺めてススキを味わう中秋の名月。十五夜なのに曇り空。雲の切れ目に月を探すが、待ち人来たらず。ドタドタと音を立ててはくれまいか。カツカツでも可。
観月を前に僕が赤ら顔。
プリンター用紙を二九八円で購入。

十月四日(日)
本日は洗濯日和なり。布団を干して心機一転。今夜は再生布団力に期待。連日の心労。心も天日干しして再生させたい。でも胸から取り出した瞬間、ピューっと風に乗って逃げてしまいそうなのでやめておく。
夕方、相方からお月見のお誘い。十六夜。レジャーシート持参で八時に江古田駅集合。
江古田の森公園の真ん中にシートを敷いて晩ごはん。おにぎりとマッシュルームのピクルス。ビールでお団子。丸い物ばかり。
月が明るくて他の星に遠慮したのか夜空に月がぽつん。
我らも公園の真ん中でちょこん。

十月五日(月)
雨だか曇りだか、もう、はっきりしなさい!
今日は外出。待ち合わせ場所を間違える。新日本橋集合なのに日本橋で待つこと数分。鳴った電話に怒られ平謝り。それにしても便利な時代。
紛らわしい名前は失敗も多いが、楽しい。悩ましいけど素敵。中でも目白と目黒は最強。この組合せで間違える人に悪人はいない。白黒付けるつもりが大混乱。名付けた人のセンスも秀逸。目の付け所も違うね。パリには「九月四日」なんて名前の駅もあるらしい。わくわくする。

十月六日(火)
相方の実家(高知)にいるハムスターはゲージをかじるのが好き、と言うか大好き。起きるなりカリカリ、ごはんのあとでカリカリ、寝る前にもカリカリ。カリカリ。悪い癖だが、ゲージを変えるわけにもいかず、今日もたぶんカリカリ。
そんな「あみたん(ハムスターの名前)」が今朝死んだと伝え聞く。
数日前に前歯が欠けるか抜けるかしてそのまま一気に老け込んだらしい。家族の話では、本人(あみたん)の落ち込みが激しく、終始うつむき加減でしょんぼりがちだったとのこと。そんまで好きだったのね。カリカリが。
彼女《あみたん》の歯はどこにやったのかしら。

 十月七日(水)
台風がやってくる。
ここ十数年。台風のピークが九月十月へとずれているように思う。思うだけですまん。

十月八日(木)
台風の中心は晴れ。豪雨転じて晴れとなす
なんてうそ。前門の虎後門の狼。
見上げた空は不自然に真っ青だけどビルの向こう、遙か遠方には灰色の雲が出番待ち。周囲をぐるりと雨雲に張り巡らされ、牧場の柵みたい。これは悪い晴天。お出かけには適しません。
遠くでは形や模様を変えながら猛スピードで雲が動いている。ぼんやりしていると雲ではなく僕の方が動いているみたい。目が回りそうだ。くらくら。頭痛薬を二粒与える。

十月九日(金)
本日はゼミの発表。自分でわかるだけではダメ。わかる人だけがわかるのでも手ぬるいとは小林秀雄(?)だけど、昔の人は良いこと云うね。まず自分がちゃんとわかっていないと引用さえもままなりませぬ。
発表終了。暑さ寒さも彼岸まで。のど元過ぎれば何とやら。先ほどの覚悟と反省が蜘蛛の子が散るかのごとく消えていった。
昔の人は良く見ているなぁ。

十月十日(土)091010_1446~0001.jpg
相方から雲がドーナツの形をしている写真が届く。僕に羽根があったら、絶対その輪の中を通り抜ける。間違いない。そう思わせる良い雲でした。空が青いのも良かった。夏が終わってしまったことを思い出した。せっかく忘れていたのに。なんてこったい。
お米が無くなったので注文。
 ※写真は僕のじゃないよ。

十月十一日(日)
終始修論のアンケート結果とにらめっこ。
わかったような気になるけど、実際には何もわかっていない。
外は良い天気だったが、薬屋にシッカロールを買いに行っただけ。しかも夕方に。でも洗濯だけはちゃんとした。それで良しとしようと思った。だって、日曜日だもん。

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